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概要

kaigaikensyu45

? 76 ?ると感じた。これは、福祉施設として障害が重度であっても受け入れることができる利点である。一方で、医師や看護師の元、生活全般が医療的管理の下に置かれていることで様々な制約もあるのが現状である。デンマークの施設で話を伺ったとき、「その人がどう生きるかが重要である」という言葉に感銘を受けた。日本においては、施設内での生活を安全に過ごしてもらうことに焦点が置かれていることも少なくない。しかし、生活における新たな経験にはチャレンジがつきものであり、リスクを伴うことも少なくない。日本においては安全に行える保障の元でしか行えない活動も、個人の経験や意志を尊重する海外では当たり前のように行うことができる。QOL(生活の質)を追求した福祉が実践されていると感じた。(2)障害児支援は専門的支援が必要不可欠 多くの特別支援学校には、作業療法士をはじめとする専門職種が勤務していた。これは、教育としての教師の視点に重点が置かれながらも、障害に対しては教師ではなく専門職種の視点が必要であるということが認識されているためである。専門職種の支援を受けるために医療機関に通う必要が少ないので、家族の時間や子ども自身の活動の時間が確保されていることは素晴らしいことである。個々の児童に合わせた個別支援プランの計画もそれを裏付けている。学習目標ではなく、個々の学びと生活における全般を支援するために教育機関があるのだと感じることができた。また、これらの施設の多くが、普通学校と併設されており、地域で暮らす障害児が通う学校だからこそ、地域の小学校の子どもたちと同じ環境にあるのだと気づかされる。日本の特別支援学校の多くは単独で建設されており、様々な学区からスクールバスか保護者による送迎によって通学しているケースが少なくない。日本の課題として同じ地域で暮らす子どもとの接点が希薄になっている懸念も感じられた。 今回、多くの方に協力をしていただき、そして現地でも様々な人の助けを得ることができ、研修を無事に終了することができた。長きに亘り、この研修制度をご提供いただいている馬主の皆様に感謝するとともに、中央競馬馬主社会福祉財団の方々には、研修施設が決まるまでの苦労を労い、良い研修ができるようにと終始サポートをしていただいた。最初の研修地でもあるデンマークでのノーフュンスホイスコーレのmomoyo 氏、山本勇輝氏、千葉忠夫先生には、研修を始めるにあたり研修先でのコミュニケーションや生活面での支援をしていただき、個別研修への良いスタートを後押ししてくれた。改めてお礼を申し上げたい。ありがとうございました。 そして各訪問施設においては、忙しい日常業務の最中、日本からの研修の受け入れを親切に調整してくれたWorcester Snoezelen のCris 氏、Richard Cloudesley School のSara 先生、Brunel University London のWydell 先生、FLAMING GRUNDSCHULE のNicole 先生、MunkehakkenのPernille 氏、カナダでの訪問先を調整し、忙しい中施設へ同行してくれたUniversity ofAlberta のLili 先生、宮崎先生、アメリカでの施設を紹介し、同行していただいた直井先生など、様々な方にお世話になった。貴重な機会を与えたくれたことに心から感謝申し上げます。