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概要

kaigaikensyu45

? 31 ?バイザーがいてくれるお蔭で自信をもって対応できている」と話していた。(4)ボランティアの開発 このホスピスでは実にボランティアが多い。管理者も「私たちは、素晴らしいボランティアに支えられているからこそ患者に心地良い環境を提供できている」と絶大な信頼を置いている。 ボランティア希望者は、前述したとおり患者の遺族の申し出、また法人ホームページから、職員の家族、ボランティアの紹介、元医療従事者と様々な方々が申し込む。ボランティア希望者は新規採用職員や研修生とともに、オリエンテーションを受ける。このオリエンテーションは各部門の管理者全員が出席し、全員が自己紹介をして始まる。自己紹介では、身近な人の死の経験を、涙を流しながら話す方もいて、職員も他のボランティア希望者も、経験を話してくれたことに感謝しながら想いを共有する。こういった共感が共にチームとして「患者に最大限の快適を提供したい」という目標に結びつくように感じる。同席したボランティア希望者は、マッサージ提供、亡くなられた患者の衣類でブローチを作る、病室訪問、元看護師で専門の視点を活かすことをしたい、など様々な志望動機がある。オリエンテーションはとても組織化されており、法人の理念や歴史、守秘義務、医療倫理、感染対策、災害対策を講義した後、各テーブルに職員が入り昼食をとる。その後、レジデンスを含めたすべての施設を見学案内する。各管理者が丁寧親切に説明や質問に応じるなど、ボランティアをとても大切にしていることが表れている。 研修中に様々なボランティアにお会いした。レジデンスの病室にスナックを配る高齢の方や高校生、セラピー犬を連れ慰問する方、患者家族の憩いの場となる中庭の植物を手入れする方などである。このレジデンスは24 時間受付担当者がいて、面会に来る家族などを案内したり、要望を聞いたり伝言を受けたりしているのであるが、驚くことに全員ボランティアで構成されているのである。夜間を含め4 時間交代で多くのボランティアが受付をしている。24 時間、心のこもった受付は、入院する患者やその家族を癒してくれることであろう。このホスピスには大人の遺族だけではなく、両親を亡くした子どもや、祖父母を亡くした孫といった児童の遺族を対象に、グリーフケアとしてキャンプを開催している。水泳やキャンプファイヤーなど楽しいことをしながら、時に家族を失った悲しさを話す機会を作るなどして、専門の職員がグリーフケアを行うのである。このキャンプ開催にも様々なボランティアが協力しているという。ボランティアの心から湧き出る精神を、様々な形で導入・開発し、患者やその家族の快適さを追及しているのである。Union Cityカリフォルニア州の都市。近年、シリコンバレーの発展やサンフランシスコの土地の高騰もあり、電車一本で行き来できる交通の便の良さから、サンフランシスコのベッドタウンとしても人気が高い。日本からの移民も多く、初期の移民から現在は3 代目の日系アメリカ人も多く暮らす都市である。