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概要

kaigaikensyu45

? 30 ?日本のケアマネジャーのアセスメント項目と共通点は多い。異なる点として、現在抱いている死に対しての恐怖心の有無の確認、信仰の有無を確認しているところである。どの宗教でもチャプランが対応できることを伝え、チャプランの訪問希望の有無も確認する。また痛みや不眠などの情報を得た場合、担当看護師に連絡を取り、看護師が患者の担当医師に連絡を取り迅速な対応がとられ、患者の苦痛が早急に取り除かれるよう調整を図る。初回面接では早期に患者と信頼関係を築くよう神経を使う。在宅ホスピスケアであるため、初回訪問時に患者が重篤な病状で意識が無いことも多く、その場合は患者家族の不安や患者に対する想いを傾聴し、心理的サポートをしながら解決できそうな資源の情報提供を行っている。 継続訪問については患者の病状によって週数回から月1 回行う。担当地域により生活環境が大きく違うのも多民族国家アメリカならではである。高級なアシスタントホームに入居している患者もいれば、水道もないトレーラーハウスで暮らす患者もいる。また移民や不法移民、医療保険未加入者も多くいる。当ホスピスはNPO 法人であり、また多くの方々から寄附が寄せられ運営をしている。そのため、たとえ医療保険未加入で医療費が支払えない患者に対しても、他の患者と差が無い良質な医療ケアを提供することが可能である。患者本人の自己決定を最優先するため、ホスピスケアを望まない患者には他のサービスを紹介することもある。ある40 歳代の癌末期の患者宅では患者本人だけではなく、20 歳代の息子の健康状態の把握や、心理的サポートや社会資源の申請方法の情報提供を行う。ある英語が理解できない移民の患者宅では、通訳機関に電話連絡し、電話回線を通しながらの面接を行い問題の解決支援を行う。ホームソーシャルワーカーは、どの程度適正な通訳をされているか不確実なこともあり、もどかしさを感じることも多いそうである。そのような状況下でも信頼関係を構築するよう一層努力するのである。またアメリカでは患者の薬を他者が不法に服用したり売ったりする薬物依存の問題があり、ソーシャルワーカーは処方された薬が適正に患者が服用できるよう介護者のアセスメントを行い、患者を後方支援することもある。在宅の患者に対してベッドや車いす、ポータブルトイレなども貸し出しており、ソーシャルワーカーや看護師が搬入調整を行っている。  グリーフケア訪問にも同行した。愛する夫を亡くされてから1 ヶ月経過した妻の悲しみや介護中の苦労話、結婚してから現在に至る思い出話を、手を握りながら傾聴する。妻自身も複数の持病を持つため、ホームソーシャルワーカーは妻の健康状態に気を配りながら、高齢者向け住宅の情報提供を行う。そして今後不安なことがあればいつでも連絡を取ることが可能であること、専門のグリーフケアセンターがあることも伝えている。 多様な社会、生活背景を持つ患者やその家族の一人一人を個別化し、尊重しながら業務を行うホームソーシャルワーカーの柔軟性と知識の豊富さは学ぶべきところが多い。ホームソーシャルワーカー全員が口を揃えて「様々な予測もしない出来事に驚くことは多いが、法人内に相談でき、自分を信頼してくれているスーパーグリーフケアミーティング