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概要

kaigaikensyu45

? 11 ?7.4 月27 日 木曜日 9:00 ~ 11:00  視 察:地域健康クリニック Sundhedsklinik  対応者:Carsten Andereasen(地域看護リーダー)  報告者:南東北相談支援センター 主任介護支援専門員 佐藤 真希子 現在、地域健康クリニック(ナーシングクリニック)は3 ヶ所の地域(コミューン)が合併し一つの市に統合されたためノーフュンスコミューン(地域)に3 ヶ所のクリニックが存在する。 組織としては、患者が通う看護師クリニック、看護師が患者宅を訪問するクリニック、セラピストが患者宅を訪問するクリニック等がある。看護師が患者宅を訪問するクリニックには看護師37 名が在籍し、うち6 名がスタッフの病気欠勤や長期休暇に充てられる期間限定の看護師である。患者が通院する看護師クリニックは、平日7:30 ~ 14:00 または15:00 の間オープンしている。10名の看護師が在籍し、通常一人の患者に対し2 ~ 3 名の看護師でチームを組み、看護師の勤務シフトが変わっても患者に継続・統一性のある看護を提供できるシステムとなっている。毎朝看護師はクリニック事務所に出勤しミーティングを行い、無料タクシー(税金で賄われる)を利用し来院される患者をそのチーム内の誰が担当するか決め、デンマーク国民が必ず持つホームドクターから処方される看護指示内容を専門看護師が患者に実施する。内容としては床ずれや糖尿病性の壊死など傷の処置、患者の内服薬を取りに行き渡す・分包する、弾圧ストッキングの調整・処方、注射、栄養相談や体重相談などである。訪問系の看護師クリニックと比較し、通院系の看護師クリニックの課題としては、患者が自発的に通院を望む必要があること、患者宅からクリニックの距離の遠さなどが挙げられる。利点としては、クリニックといった衛生的な環境で看護を提供できること、患者宅に訪問するより効果的な看護を提供できること(訪問系より通院系の看護の方が傷の治りが早いことが証明されている)、患者が待ち時間がなく予約時間通りに看護を受けられるため患者の拘束時間が短い、といったことが挙げられる。最後に傷の処置を専門とする看護師の診察室を見学した。ここでも看護師による移乗介助が行われないよう、診察の椅子がリフト式になっていた。その椅子を回転させると足を洗う流し場になっており、シンプルでありながら機能的な造りになっていた。 日本でも訪問看護は公的事業として存在するが、デンマークにおける看護師のみのクリニックは存在しないため、目新しく興味深かった。看護師の処置から医療用具、送迎タクシーに至るまで税金で賄われているデンマークはやはり社会福祉国家であると感じた。