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概要

kaigaikensyu45

? 8 ?4.4 月25 日 火曜日 13:00 ~ 16:00  視 察:Skrillingskolen  対応者:Karin Munk(校長先生)  報告者:北海道済生会西小樽病院 みどりの里 作業療法士 小玉 武志 ここは特別支援学校の役割を持っていて、コミューンごとに設置されている学校の一つである。主にIQ が低い子どもが入学している。これらの子どもは、過去には子ども自身のやりたいことではなく、軽作業などをする施設に入っていることが多かった。しかし、当時の教育大臣が「全ての子どもには得意である活動の可能性を追求する権利がある」という理念のもと、教育改革が行われた。それまでの「問題行動を起こす子ども」という認識から「問題行動を起こしているのは先生や大人が原因である」という思考のパラダイムシフトが行われた。そのため、ここでは学校の方針の下に、法律により定められる教育内容、そしてさらに子ども自身が可能性を見つけるための支援の目標が置かれている。これらは徹底されており、一人の職員の介入は、支援目標のどこに当たるのか、それは教育内容のどの部分であるのか、また、学校方針に対して帰属できているか、ということが確認される。この一貫性が保たれている場合は、授業そのもので何を行うかは問題ではなく、子ども自身にとっての学びがあることが優先される。 ここでは、105 人の子どもに対して、80 名ほどのスタッフが働いている。先生、ペタゴー、ペタゴー補助がおり、セラピストも関わる。日本では資格化されていないペタゴーとは、主に生活に必要なスキルを伸ばすために配属されている。通常、子どもの教育では机上学習として与えられる教科学習が求められるが、ペタゴーの介入が必要な子どもは主に、一般教養や自律性を重んじた授業が開催される。例えば、「会話はどのように始めるのか」をテーマに、質問をするのか、意見を言うのか、同意を求めるのか、お願いをするのか、これらを開始するきっかけの使い方や、会話が始まった後の聞く姿勢、相互作用であること(キャッチボールが必要であること)、そして会話の終わりについてペタゴーは授業を行う。全ての子どもが、子ども自身にとって到達可能なレベルを目標にする。 デンマークは教育に対する考え方が明確であり、今後の国を作っていくのは現在の子どもであること、それに対する予算の使い方と、得られる成果が重要であることを国家として取り組んでいる。そのために高い予算と職員1 人あたりの子どもの数が少ないなど、充実した教育環境が整えられている。しかし、最も重要なのは「子どもが生き生きとして、元気に通っていること」が学校にとっての誇りであると言う。