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概要

kaigaikensyu45

? 7 ?3.4 月25 日 火曜日 10:00 ~ 12:00  視 察:Skansebakken  対応者:Per Moller Huus(施設管理者)  報告者:北海道済生会西小樽病院 みどりの里 作業療法士 小玉 武志 重度の重複障害を持つ成人の方の居住施設を訪問した。Skansebakken では46 人の障害を持った方が生活している。診断名はなんらかの先天性の脳障害であり、てんかんや拘縮・変形等を持っている方が殆どである。彼らの認知機能は3 ヶ月程度?高くても1 歳半程度である。ここでは、一つ一つの部屋は居室であり、個人の住宅であることが尊重されており、各居室ごとに住所があり、玄関口にはそれぞれの郵便ポストが設置されている。全ての居室にはテラスがついており、リビングとベッドルーム、そしてバスルームがある。生活している殆どの方が立って歩くことが困難なため、バスルームにはベッド型のシャワーバスが標準的に設置されている。当たり前のように、ここでも全室、全活動スペースにリフトがついており、職員が利用者を持ち上げないことを徹底している。食事は胃ろうを使用している方が18 名で、他の人はミキサー等の食形態を個人に合わせた形で提供されており、食堂か自室かのどちらでも食事をして良いことになっている。また、食事のためにコックと栄養士が雇われている。日中の活動はトレーニングやアクティビティルームで過ごすことや自室で過ごすことを選ぶことができる。これらの活動スペースは11 名前後のグループで共同ルームを使用し、外の活動に参加することもでき、プールに行くことや地域のゴスペルサークルに所属している人もいる。また、カヌーやクライミングなども体験することができる。地域で暮らす人たちはショートステイを利用することもできる機能が備わっている。 彼らの生活を支援する職員は、40 ?60 名のペタゴー、作業療法士と理学療法士が2 名ずつ、社会保険介護士と社会保険介護助手がおり、全部で100 名以上の職員が勤務している。勤務体系は日勤と準夜勤はシフトで行なっているが、夜勤の方は夜勤のみの勤務を行なっている。それは職員の体調、生活リズムを考えた時に、夜勤と日勤を行うのはベストではないという判断が基本になっている。夜勤帯は3 名の体制であるが、てんかん等の発作や起床したことなどがわかるようにセンサーがついており、ペタゴーの持つデバイスに連絡が行くようになっている。 全てにおいて、個々の自立した生活と意味のある時間を過ごすことにフォーカスされており、そのために職員は多くの研修に参加しスキルアップするチャンスが確保されていたり、組織も体系化されプログラムにおいても細部に渡り個々の生活に対する意識付けがされていたりと、徹底されている。多くの人は引っ越すことなく、ここで生涯を終える。看取りの際にはホームドクターによる診断のもと、医療介護を学んだ介護士もしくは近隣の提携病院の看護師が責任をもって緩和ケアを実施し、尊厳死にも高い価値が置かれている。施設が健全に運営されているかは全てインターネット上で監査情報が閲覧できるようになっており、障害を持つ子どもがいる親は、自身の子どもの将来の住まいを探す際の情報として利用することができる。