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概要

kaigaikenshu_44

アメリカの障碍者自立生活運動にそのルーツがある。オーストラリア滞在の最終日に彼女と、その友人と一緒にシドニー市内を巡りながら、彼女達のこれまでの当事者活動について、話を聞かせてもらった。1990年代半ばからコンシューマー運動が盛んになり、それに伴いピアサポート(当事者同士の支え合い)の必要性も認識されてきた。その後、ピアワーカーのリサーチが進み、2000年には、ピアワーカーの存在が体系づけられ、精神保健福祉サービスの専門職種として認知されている。ジャネットさんの友人2人は、その頃にピアワーカーとなり10年以上働いている。彼女に「なぜピアワーカーが必要なのか?」と質問、1実体験を持つピアワーカーは、当事者の気持ちを素早く理解できる2当事者と医療関係者の間を繋ぐ事ができる(通訳者の様な役割を担える)という事を熱心に話してくれた。改めて、自分の当事者としての経験を有効に使って、他の当事者を支援してきた実績の重みと、その覚悟を感じた。Ⅴおわりにこの海外研修に参加し、約2カ月に亘ってピアサポートの有効性について、また人の存在を大切にする事について、アメリカ、デンマーク、イタリア、オーストラリアで学んできた。この研修を通してたどり着いた1つの共通項は、マイノリティーとマジョリティーの力の構図である。少数派の声は、正当性があってもなかなか聞かれず、多数派の意見に矛盾があっても力ずくで押し通されてしまう。その少数派の人達が、障碍を持つ方、社会的弱者と呼ばれる人達。アメリカの自立生活運動は、その少数派の人達が自分達の人権を、耐えるという姿勢から戦う、主張していく形に変えて人権を獲得した。デンマークでは、国づくりの過程に民主主義、国民に主権があるんだ!という考えに則り、国民が参加し、安心して暮らせる社会「福祉国家」を築いている。オーストラリアにおいても、コンシューマー活動を通して自分達の人権を獲得する為に戦っている。「人権」=「人の尊厳」であるといえるのではないか。その視点に立って考えた時に、もはやピアサポートが有効かどうか、という議論は意味を持たなくなる。なぜなら人として、それだけで、その人の存在は素晴らしい、それが真実だと思うからだ。エドロバーツキャンパスのロビーの壁一面に、障碍を持つ市民がカリフォルニア州政府広場を占拠した時の様子が写真の様に描かれている。いくら訴えても、いつまでも変わらない国の対応に対して、自らの存在をかけてプロテストしている。暴動が起きてもおかしくない、一触即発の事態。でも、最終的には、国が障壁を取り除く法案に署名し、和解して終わった。その壁に、プロテストしていた女性と警備をしていた男性がハグしながらキスしている写真があった。その写真に私の中に芽生えた信念がある、「All people to live in harmony regardless of our differences」「全ての人が、お互いの違いを乗り越えて共に生きていける」という希望を持ち、生きる事。これらを学べた事は私にとって貴重な体験であった。この学びを自分の職場はもちろん沖縄の?69?