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概要

kaigaikenshu_44

最初に、朝のミーティングに参加した。その日話された内容は、全国障害保険システム(NDIS)であった。今、オーストラリアで話題になっている政策である。日本でいう退院促進のような制度で、重度の入院患者を地域で支えて行くという制度である。オーストラリアでは日本と違い、重度の方でも地域で暮らせるように国の予算を投じて、手厚い支援を行っているが、この制度で懸念されている事がある、それは、回復が進んでいる当事者への予算・支援が減ってしまう事である。ピアワーカーの雇用に関しては、去年、約30人だったピアワーカーを今年60人に増やしたそうだ。この調子で来年には、90人に増やし、サービスを充実させていきたいと豊富を語ってくれた。現場のピアワーカーの育成を任せられているシニア(先輩)ピアワーカーと2人で会議に参加した。「君たちの力にかかってるんだよ!」と冗談交じりに言われると、もう十分シニアピアワーカーとして働ける人材が育ってきている事を報告していた。ミーティングの後に、ピアワーカーの病院訪問に同伴した。オーストラリアに来て初めて会うピアワーカーだったので、とても興奮した。女性のピアワーカー3名と一緒に、約50床の小規模な精神科病院を訪問した。中に入るまでに、施錠されているドアが3つあった。その厳重なシステムは、やはり精神科病院の特徴であり、病棟内も部屋と部屋の間のドアには鍵が掛っていて不便であった。院内のティールームで、入院中の方とピアワーカー、臨床心理士を含めて会話。私が、日本からピアワーカーの持つ効果的な力について研修に来ていると知り、臨床心理士の方が、大学院での卒業論文のテーマにピアワーカーと入院患者との関わりについて書いている事をシェアしてくれた。この病院でも、ピアワーカーの訪問がきっかけで、入院患者の方にポジティブな変化がある、具体的には、笑顔や会話が増えて、コミュニケーションが取りやすくなった、との事である。この病院訪問の間、ピアワーカーの方と一緒に行動したことは、私自身とても安心した気持ちが持て、受容的な感じが自然に伝わってきた。ピアワーカーの魅力だと思う。シニア(先輩)ピアワーカーピアワーカーと病院訪問4.MIND Australia(マインドオーストラリア)~当事者活動支援団体~マインドオーストラリアは、ビクトリア州のメルボルンを拠点に活動しているメジャーな当事者支援団体である。この組織もピアスタッフとその家族が全雇用者数の半分くらいを占めている。もともとは、イギリスにある「MIND」(マインド)、という当事者支援団体の流れを組んでいる。?67?