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概要

kaigaikenshu_44

Ⅲイタリア(5月5日~5月6日)トリエステ県トリエステ市は1978年に精神病院を廃止、精神病院の新たな建築と、新たに入院させる事を禁止する法律(バザリア法)を制定した事で有名である。私が勤めている法人もこの斬新な取り組みを学ぶ為に、3回に亘って視察団を送っている。今回は、その視察団が訪ねた足跡を辿る形で研修を行った。1.Posto Delle Fragole(イチゴの家サンジョバンニ公園内)~社会協同組合が運営するレストラン~イチゴの家は、精神の障害のある人とそうでない人が共に働く場で、社会協同組合という組織が運営している。社会協同組合は、社会的弱者と呼ばれる人が全従業員の3割以上を占めていることが条件で、国から税制の優遇や公共事業への優先的参入が許される仕組みとなっている。社会的弱者と呼ばれる人達は、障碍者、薬物依存症者、受刑者、貧困家庭の未就労者、長期的失業者、移民などが含まれる。イチゴの家を訪ねた時は、午後1時を過ぎていて、お客さんで混んでいた。ランチをオーダーしたら、「もうランチは終了です。ドリンクバーなら大丈夫です」と忙しく働いているウェイターが答えた。イタリア語なのでよくわからなかったが、彼のジェスチャーを見ると、そういう意味だったと思う。カプチーノをオーダーして、外のテラスでくつろぐ事にした。忙しそうに働いていたウェイターは、以前に自施設も参加した視察団の報告書集に写っていた男性だった。その写真では、にこやかな表情でポーズを決めていたが、普段はこんなにも忙しく働いてるんだ、と日常の様子を垣間見ることができた。サンジョバンニ公園をゆっくり散歩しながら下り、トリエステ精神保健局へと向かった。いちごの家2.Department di Salute Mentale(精神保健局管理部サンジョバンニ公園内)トリエステには、地域の精神保健の拠点として4つの地区に精神局がある(マッダレーナ、バルコラ、ドーミオ、ガンビーニ)。トリエステ精神保健局管理部は、その精神保健局の事務局のような役割を担っていて、WHOの研究機関もこの中に入っている。精神保健局の中はとても静かであった。視察団の報告書集では、視察団に講義するレクチャールームには多くの人がいたのだが、この日は誰もいなく、他にいくつか部屋があったが、やはり誰もいなかった。あとで分かったのだが、その日はレクリエーションの日で皆出かけている、との事であった。1人で建物内を見学、廊下や講義室の壁に当時の精神病院改革の歴史を伝える写?64?