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概要

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親委託が適切な処置ではないと判断された児童が入所するという説明を受けた。里親宅で暮らすには「ダメージを受けすぎている」と表現していた。そのため、児童養護施設は、子どもがダメージから回復するための治療施設的な位置づけでもある。この施設は公立の施設で、特別支援学校と家庭支援施設を持っている。児童養護施設の定員は11名。現在5歳~17歳までの男女11名が生活をしている。ランゲビューフスの職員さんとこの内6名が公立の小学校へ、4名は施設が保有する特別支援学校に通っている。1名は公立の小学校では適応できず、施設内の特別支援学校へ入る予定であるが、現在は親の承諾が得られておらず、施設に教師が来て教育を受けていた。もうすぐ親の承諾が得られて、特別支援学校に通えるであろうとのことであったが、1ヶ月に亘って施設内で教師と1対1で過ごしており、早く学校に行きたがっていた。個人的には、本人が学校に行くことを望んでいるのに、小学生が1ヶ月もの間学校に行かないというのは中々理解し難い。デンマークでは教育を受けさせる義務はあるが、それが必ずしも学校でなければならないということはなく、行動上の問題などで、家庭教育がベストと判断されれば家庭教育もあり得る。もちろん、家庭教育の決定が下される前に、公立の小学校の先生も子どもの問題解決に向け努力をするし、加配の教員を付けるなどの対応も取られる。以前にはインクルージョンの考えから、どんな子どもでも公立の学校で教育を受けさせるべきと考えられていた時期もあったが、現在はその子に合った教育をという観点で教育の場所が決められる。その子どもにとっての最善とは言っても、教育現場の現状や周りの子どもとの兼ね合いなどといった配慮は必要である。さらに、一歩間違えば子どもに「自分は周りから排除された」と感じさせ兼ねない決定でもあるので、決定を下しその子や親にどう説明をするのかはとても難しい問題である。また、この施設に入所している11人の子どもの内、2名の親は自分が子どもの時にこの施設にいたとのことで、やはり悪循環から抜け出すのは難しいようである。基本的に朝は3人の生活指導員(Paedagog:ペタゴー)、午後からは4人、夜間は夜間専門スタッフ1人で子どもに対応している。夜間専門スタッフの勤務時間は23時~翌朝の8時までで、1週間働くと次の1週間は休みとなり、2人交代で行っている。リビング左右に個室がある心理士は外部から来て、子どものセラピーも行うが、ペタゴーへのスーパーバイズと知能検査など、子どもの検査を行うのが主な業務である。この施設は1階建てで左右に分かれて玄関・キッチン・リビング・個室があり、中央に設置されている壁は可動式である。現在は全員の関係が良好で、一緒に生活することを好んでいるため、11人をまとめて見ている。調理もペタゴーと子どもで行う。毎週子どもたちのミーティングが行われ、週末どこに行く個室(バストイレ付き)?39?