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概要

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製など生徒が触って学習するための教材や、教材の作成に必要な立体プリンター、点字プリンターなどの設備も充実しており、遠方の児童・生徒のための寄宿舎もある。見学した教科の中で「宗教」の時間があり、生徒個人の宗教について学ぶ時間があった。キリスト教であれば十字架の模型を触りながらキリスト教について学ぶという内容であり、宗教という科目は他国では見られなかったので印象的であった。職業訓練については、事務仕事に必要なパソコンなどの技能、電話交換や、籐のカゴ作りなどを行っていた。しかし、実際の就労につなげることは難しく、今後の課題であるとのことだった。2.Caretec1988年に設立された、視覚障害者に向けた便利グッズの販売、開発を行っている会社である。白杖から生活用品まで幅広く取り扱っており、世界中に顧客を抱えている。電子レンジなどの音声で案内する家電も販売しており、視覚障害者が日常で必要な用具を総合的に取り扱っている。Ⅴおわりにアメリカ、ヨーロッパの2ヶ月間の研修は、毎日が新しい学びや出会いの連続であった。研修テーマとして掲げた「視覚障害者のメンタルケア」については、プライバシー保護の壁にぶつかり情報を得ることは残念ながら難しかったが、その他の事で得られたことも多くあった。どの国の施設も利用者の個別支援計画においては、ソーシャルワーカー、訓練士、セラピストなどの専門家が集まり、個人の目標とプログラムを決めて情報共有をし、自立に向けて利用者を支援していた。日本との違いは、専門家が雇用され、各専門家の連携がシステムとして機能していることであった。福祉や教育についての考え方に於いては、欧米では個人を尊重し、利用者の意思確認を常に行う。その上でできることは自分で行えるよう支援していた。意思表示の反応が遅い利用者についても、時間を待って自己決定の大切さを伝えていた。背景として、移民が多くさまざまな人種がいる中、多様な価値観と考え方があるために細かいルールの下、支援が行われている。海外の福祉、支援方法を学ぶことによって、日本の文化や歴史によって積み上げられた日本独自の支援方法もあることを感じることができた。各国の視覚障害者支援に携わる人々と話をし、支援にあたっての悩みや、利用者の成長についての喜びが世界各国共通であることを嬉しく感じた。今回、この研修の機会を下さった、中央競馬馬主福祉財団の皆様に心より感謝を申し上げます。?53?