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概要

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Ⅰはじめに平均寿命・高齢者数・高齢化のスピードにおいて世界一といわれる日本において、2025年(平成37年)には、団塊の世代(約800万人)が75歳以上の後期高齢者となり、これまで以上に医療介護や福祉分野の需要が増えると見込まれている。厚生労働省はこの2025年をめどに、高齢者の尊厳の保持と自立生活の支援を目的として、可能な限り住み慣れた地域で自分らしい暮らしを最期まで(Aging in place)続けることができるよう、地域の包括的な支援・サービス提供体制、地域包括ケアシステムの構築を推進している。地域包括ケアシステムは、保険者である市町村区や都道府県が、地域の自主性や主体性に基づき、地域の特性に応じて作り上げていくことが必要とされている。また、厚生労働省の調査によると、65歳以上で認知症とされる人は2012年時点で約462万人に達し、予備軍(軽度認知症MCI:MildCognitive Impairment)も約400万人と推計されている。実に65歳以上の4人に1人にあたる。後期高齢者の急速な増加は、認知症高齢者の増加と深く結びついており、2012年9月に「認知症施策推進5か年計画(オレンジプラン)」が海外先進国の戦略に倣って制定され、認知症者に対する早期診断、初期集中支援などの対応を行うべく支援体制の強化計画が示され、その整備が現在進められている。これらの高齢化社会を取り巻く社会福祉のシステムの変換に伴い、リハビリテーション専門職である理学療法士としての地域包括ケアシステムの中での役割は1早期の社会・地域への復帰を可能とするリハビリテーションの提供2医療と介護および生活の場である地域との連携(地域ケア会議への参加など)3在宅を基本とした生活支援のマネージメント4 高齢者が要介護状態に陥ることを早期対応にて未然に防ぎ、すでに要介護状態であっても重症化を予防する介護予防に関わるリハビリテーションの提供であると考えられている。現在、約10万人いると言われている日本の理学療法士の約3分の2が医療分野で働いているが、今後は生活の場である“地域”へ活動の場を広げていく事が重要である。私自身が現在担当している通所型介護予防事業や、当法人が開設当初より大切にしてきた地域のニーズに基づいた医療・介護サービスの提供、認知症予防活動に対する様々な取り組みを踏まえた上で、今後構築されていく地域包括ケアシステムにおいて、より深く関われるようになりたいと考えている。地域包括ケアシステム(Integrated Community Care System)に関する研修を行う中で、“その人らしさ”とは一体何なのか?“コミュニティケアとは何なのか?”地域や人と人とのつながりが少なくなってきている現在の日本で、果たしてこのケアシステムが上手く構築され、機能できるのであろうか?という疑問を持っていた。?20?