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概要

kaigaikenshu_43

家族は幅広いスキルと知識を当事者に関して長い間積み重ねてきたこと」を専門家は自覚したうえで、専門家と家族間相互の情報の提供と共有を行うことが重要であることを基本としている。バーミンガムのNHS内にあるメリデン・ファミリー・プログラム(MFP)研修所の建物。‘The Triangle of Care’家族全体の精神的健康状態が向上していくための基本的な支援体制と関わり方のモデルである。(注:MFP研修時の配布資料より引用)(2)認知行動療法的家族支援と家族のストレスマネジメント行動科学における「行動(Behavior)」とは生体の「観察可能な」反応を指し、従来の行動療法では人間の行動を「Antecedent(先行事象)→Behavior(行動)→Consequence(結果)」のABC分析のユニットで介入を行う行動変容の技法が行われてきた。この従来の「行動」に焦点を当てた行動療法から、思考など認知に焦点をあてることで発展してきた心理療法の技法を「認知行動療法」と言う。MFPでは、家族メンバー一人ひとりに対して、この認知行動療法的介入と支援の総称であるBFT(Behavioural Family Therapy)が行われる。MFPでは、家族の定義については「同じ建物の生活単位の中で暮らし、その単位の組織化と維持のための日常的な責任を共有する人々」あるいは「居住場所のいかんにかかわらず、ある個人に対して、日常的に情緒的な支援の中心的提供者である人々」と捉えている。そのうえで、「家族による介助がすべての疾病の臨床管理において最も自然な資源である」という考えに基づいて家族のストレス・マネジメントの介入を行っている。家族支援の際に重要なのは、家族内の力関係により、発言力の弱いメンバーの声がかき消されたり忍耐を強いることにはならないようにする配慮である。そのため、訪問支援では家族メンバー各人の面接以外に毎月1回家族全体の会議も行っている。日本では、現代でも母親や「ヨメ」の立場の人間は、「働きたい、資格を取りたい、余暇を楽しみたい」という人間として当然のニーズを諦め、押し殺して、当事者のケアに自分の人生を費やすということが美徳とされ奨励される慣習(社会的に生じる「役割期待」)があり、そのような「自己犠牲」の行動をとらない場合は周囲の人間やコミュニテイの人々や専門家たちからも陰口を言われ責められるという現状が存在している。筆者はその点について「MFPでは、ジェンダーによる『役割期待』や『自己犠牲』の問題点については、どのように対応しているのか」とスタッフに質問したところ、「イギリスでは『ケアラー? 108 ?