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概要

kaigaikensyu46

? 87 ?とも私の施設では、上司と部下など、組織での立場が遠くなればなるほど、コミュニケーションの場が少ない。また、職員同士が会話をしていたら、“仕事をしていない”とみなされる日本独特の文化がある。“口を動かしている暇があったら手を動かせろ!”と私もよく教えられたものだ。しかし、それぞれの国をみて他の国はそうではないことに気付いた。海外では、特に挨拶やスキンシップが豊富である。私が見学した施設は、本当にゆっくりとした時間が流れ、1 日に何度もコーヒータイムがあり、そこでは入居者も職員も一緒になって様々な話題でコミュニケーションを図り楽しんでいた。もちろん仕事をしていないわけではない。すべてはそこで暮らす入居者の生活に合わせているのだと彼らは言った。先にも述べたが、どの国も介護現場では特別な教育システムはほとんどなかった。では、いつ、どこで人を教育しているのかについて考えたところ、“毎日のコミュニケーションの場で人が成長しているのではないか”というところに辿り着いたのだ。毎日が学びの場である環境をつくりだすことが出来れば、それほど楽で合理的なことはない。日本人は働きすぎて、コミュニケーションが欠落しているため、人が育たないのではないか。毎日の申し送りや出席しているだけの会議、出席率だけを気にしている勉強会、作るのに手間ばかりかかるお飾りのマニュアル、もしかすると、それらの業務は手間ばかりで不必要なのではないかと考えた。テクノロジーが発達し、便利になればなるほど、仕事量が増え、それに伴ってコミュニケーションが欠落していってるように感じる。以前は、もっとコミュニケーションが充実していたような気もしてきた。 しかし、今の日本のレベルでは、ただコーヒーを飲んで楽しく終わっただけでは教育には繋がらないと感じる。そのため、具体的な内容として、施設長と現場経験の豊富な職員を厳選し、CTEの輪の中に投入してはどうかと考えた。施設長は、管理者として施設の価値観を統一させるための話題づくりをする、現場経験の豊富な職員は、現場のヒントとなる話や成功例、あるいは失敗例などの話題づくりをする。聴く側に“自分たちの価値観に沿って考える”ということを毎日楽しんで行える環境を意図的につくるのだ。初めは1 日1 回、10 ~ 20 分程度、仕事の合間で一息中断し、コーヒーを飲んでコミュニケーションをとる。徐々に頻度を増やして定着させたい。しかしながら、1 日10 ~ 20 分という時間は、介護現場にとって、本当に貴重な時間である。その時間を確保するためには、まずは業務の整理が必要である。そして、このプロジェクトが成功すれば、手間ばかりの業務をさらに減らすことが出来るかもしれない。さらに毎日のコミュニケーションの中で何か一つでも学ぶことが出来るかもしれない。また、情報を共有すればするほど、介護方法の統一を図ることに繋がり、入居されている方々のケアの質が向上するのではないか。ひいては職員一人ひとりの技術の向上につながるのではないか。と考えた。そして、これまで行ってきた形式的な会議や勉強会などの手間を減らすことが出来れば、より一層その時間を入居者の方々のために使うことが出来る。すべてにおいて合理的であると感じる。