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概要

kaigaikensyu46

. 78 .(2)高齢者の生活1 日のプログラムは、入居者一人ひとりによって食事を食べる時間や場所、過ごし方などそれぞれが違っていた。施設全体の日常生活は、本当にゆったりとしていて、職員の動きもゆっくりとしている。時間がゆっくりと過ぎるからか、入居者が何もせずにひたすら車いすに座っている光景をよく見かけた。“何でもない1 日が何でもない1 日で終わる”ということはこういうことなんだと感じた。また、入居者に対してのケアには必ず職員2 人がかりで行われていた。入居者1 人あたり、約40 分程度かけて、排泄ケア・部分清拭・更衣・整容などがきめ細かく丁寧に行われていた。北欧独特の習慣なのか、お洒落にはとことん追求し、毎日、イヤリングやネックレス、ヘアスタイル、洋服のコーディネイトにこだわっていた。また、アクティビティでは、週間の予定表が作成されており、理学療法士・作業療法士・ボランティアが中心となり、活動が行われていた。認知症高齢者のユニットで研修をさせてもらったが、研修期間中(2 週間)にBPSD(認知症に伴う行動・心理症状)を伴う不穏な入居者を一度も目にすることはなかった。ゆったりとした生活の流れ、落ち着いた音楽が流れる空間、そして何よりも職員が常に近くにいるという安心感がそうさせているのだろうと感じた。また、入居者はナースコールとして、ペンダント式のボタンやブレスレッドを持ち歩いていた。いつでもどこでも助けを呼ぶことが出来るという安心感も大きいのではないかと感じた。(3)研修中の一コマ研修中の2 週間の間に1 名の新しい認知症高齢者(男性)が入居された。入居後3 ~ 4 日、彼は介護者に対して、大声をあげて抵抗していた。日本でもよく見かける光景だった。移動は車いす、常に失禁をして、日本でいうと要介護4 レベルだろうか。しかし、1 週間程度経過した頃、彼に対する関わり方に慣れてきたのか、信頼関係が芽生えたのか、彼の表情が穏やかになってきた。間もなく、彼は自身の足で歩きだし、手引き歩行が出来るようになった。そして、しばらく車いすと歩行を併用し、遂に車いすが不要になった。わずか10 日間程度で独歩が出来るようになったのだ。それから後は介護者に抵抗することも無くなった。職員は、特別な事をしたようには言わなかった。「彼はもとプログラム車椅子が不要となる