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概要

kaigaikensyu46

? 76 ?Ⅰ はじめに私は、介護職として医療現場で3 年、介護現場で3 年、そしてソーシャルワーカーとして12 年の経験がある。経験5 年以上の中堅職員になってからは、若手職員に対しての指導育成などを担当するようになり、現在では教育システムそのものをマネジメントする立場として、様々な業務に携わるようになった。これから記述することはあくまでも私の主観的な感性であることを理解して頂きたい。今から十数年前、例年入社する職員の中に介護福祉士としての資質や学ぼうとする意識にだんだんと変化が見られたことに気付いた。私たちの時代は“人の背中を見て育つ”といっても過言ではないほど、自身で考え、調べ、早く一人前のプロフェッショナルになることに対して努力してきたように感じる。しかし、時代は変化し、現在の新入職員には、“マニュアルどおり”“教わっていないことはしない、出来ない”という資質部分にレベル低下が生じてきているように感じる。もちろんそういう職員ばかりではないが、自分で“考える”ということに欠けているのではないかと感じた。その後、私は、「教育」という分野に着眼し、あらゆるシステムや育成のためのツールを試すようになり、人材育成に力を注ぐことになった。私の職場は、特別養護老人ホームである。職員の資質が標準レベルに達しなければ、そこで暮らす高齢者の方々に直接影響することになる。職員の資質が問題で介護事故が発生することも少なくない。非常に重要な課題である。さらに介護という仕事は、慢性的な人材不足を強いられ、いつでも就職できる就活最後の砦となっていることもあり、条件の良い仕事が見つからなかった場合など、仕方なく介護の仕事に就く人も少なくない。私に言わせれば、介護の仕事が馬鹿にされているようで誠に遺憾である。介護の仕事は、専門性に長け、最も難しい仕事であると自負しているからだ。しかしながら、実際の現場では、人材不足が深刻であり職員を厳選して採用する余力もない。よって、プロフェッショナルとしての意識の低さ、資質の低下が大きな問題になってきているように感じる。また、日本の高齢化社会のスピードは速すぎる。たいていの人はこの速さについてこられない。現に私の施設では、この10 年の間に新設・増築などが繰り返され、職員数が300 名を超える大きな施設となった。人が育たないまま事業だけが拡張され、経験が浅い職員が責任の重い業務を任され、過酷なストレスを抱えて仕事をしているのが現状だ。それは自施設だけでなく、日本全体が抱えている大きな悩みであると感じる。このままでは日本の将来が不安であると感じ、人材教育という分野に焦点を当てた次第である。そして、好機にも中央競馬馬主社会福祉財団の海外研修生として選ばれ、世界の福祉の実態を学べるチャンスを得ることが出来た。世界各国の福祉の実態を知ると共に、各国ではどのような人材教育が行われているかを学び、少しでも日本の人材教育の手立てとしたく、今回の研修テーマとした。