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概要

kaigaikensyu46

? 63 ?ここに来る人たちのニーズは何なのだろうか、どんな思いを持っているのだろうか、一つひとつの施設で思いを巡らせながら、ここではそれにどう応答しているのかを具体的に学ぶことができた。アメリカにおいては、ABA 療法を主軸に療育の場では教師とセラピストとの協働が常である。データを基に分析を行い、一貫した方法で支援を行なっている。また、保護者支援においては、教育法を後ろ盾に子どもが教育を受けられる権利の保証をはじめ、ボランティア活動、コミュニティーの形成はとても活発である印象を受けた。カナダにおいては、障害のある子どもも通常の学校で教育を受けるべきであるというインクルージョン教育が浸透している。Resource Consultant という職業があり、保護者は医療・教育・セラピー・ワークショップ・コミュニティーへの参加など多種多様なサービスを選択し、利用できるシステムは保護者にとっては大変心強い。オーストラリア・ニュージーランドにおいては、公にインクルーシブ教育への取り組みがだされてはいるものの、実情は教育機関へのインクルーシブ教育の浸透や態勢、職員教育等が課題として挙げられている。この点は日本の状況と良く似ているのではないかと感じた。何れにしても、リサーチの時点でインターネットの情報や文献では知り得なかった諸外国の現実を良くも悪くも知ることができたことに現地へ足を運んだという大きな意味があったのではないかと思う。全体を通して感じたことは、日本では「保護者」という言い方をするが、「親」という言葉を良く聞いた。それも子どもの世話をするのは母親だけでなく父親も含まれる「parents」というワードである。子どもの一番側にいるのは誰か?「親」だからである。もちろん、様々な家族の形があるため全てが同じではないが、支援を受けるというよりも、子どもを中心に様々な支援者と親が一緒に取り組むという姿勢を感じた。イベントやワークショップに関しても、親のボランティアが率先して動く。寄付を募るイベントを催したりと施設の運営にも関わる。そこでは子ども・兄弟と親、親と親、親と教師の関係性が生まれ、また地域の方の参加など関わる全ての人が含まれたコミュニティーが形成されていた。そして、子どもに関わる専門家がそれぞれの役割を持ち、子どもの発達を支えていた。子どものゴールに向かって、信念を持ち一貫した支援を行い、子どもの発達を知るプロとして親と丁寧に話をしていく姿は決して諦めない、そんな気持ちが伺えた。それは、時にはテクノロジーを使った方法でもあった。産まれてきた子どもに障害があることが分かり、親はどんな思いをしているのか。保育士は子どもと親が人生の中で出会う一番最初の「先生」である。この影響や役割は大きい。 親の悲しみや傷ついた気持ち、本当は本心ではないかもしれない気持ちなど、そこに寄り添いながら、多くの人々を含んだコミュニティーの形成や親に子どもの発達や成長を知ってもらう機会を作ることなど、親が安心して子育てができる「場」を形にしていきたいと思う。最後に今回、一生の中で経験することができなかったような世界を周り、福祉を学ぶという素