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概要

kaigaikensyu46

? 17 ?【デンマークでの合同研修を終えて】Ⅰ.社会福祉法人 愛徳福祉会 大阪発達総合療育センター ふたば 保育士 水野 里佳研修生3 人で励まし合いながら準備をしてきた半年。2 ヶ月間、家庭と職場を離れること、研修先はどうだろうか?期待と不安を持ちながらもデンマークへ出発。自然豊かな学院で仲間と語り合った時間はとても貴重なものであった。初日、Momoyo 先生が講義の始めに言った「日本とデンマークを比較して、デンマークはいいな!ということだけにならないように。」という言葉を受け、おそらく私たち日本人として、そしてそれぞれの専門職として、プライドを刺激された。まずは、私たちが日本を語れるのか?歴史、文化、国民性、政治…移動中の車や夜の宿舎でそんなことを語ったりもしていた。それからは様々な施設へ見学に行っても、「いいな!」ということには収まらずに、日本の福祉制度の利点と欠点、この仕組みを活用するならどうできるのか?それぞれの施設ではどうできるか?を常に考えさせられる一週間であった。研修準備期間中に勿論、デンマークの福祉・教育について予習をした。教育費・医療費・介護費がいわゆる無料だと言われる福祉国家の仕組みとはどういうことなのか。日本に住んでいるとなんとも羨ましい話に聞こえるが、それらは全て税金で賄われており、デンマークの人にしてみると無料という話ではない。給料の半分近くの税金を支払い、それらは先行投資という考えなのである。だからこそ「子どもは宝である。」という言葉が聞かれた。子どもが豊かに育ち、将来、労働をしていかに税金を納めるか、子どもはこのシステムを成す最大の資源なのである。子どもたちに大きく投資すれば、その成果は社会全体に大きなものとなる。子どもが将来の国家を形成するという考えなのである。研修先の幼稚園や学校、高齢者施設等、どこに行っても同じ言葉が何度も聞かれた「価値観」。「価値観」とはなんだろうか? 辞書では、“何に価値があると認めるかに関する考え方”とある。働く仲間が皆同じ「価値観」を持って仕事にあたる。それは本当に統一できるのか?いやいや、そうでない人もいるだろう?と半信半疑であったが、実際にどこに行っても全く同じ言葉が聞かれた。「この支援は本人にとってどうなのか?」常に主語が本人なのである。だから相手に対してどうできるかを常に考える。そして、そのことを語っている人達はみんな、その専門性、自分の仕事に誇りを持っている。専門職としてきちんと自分の仕事、それに関わる制度、システム、使命、目的、考えを語ることができる。なるほど、これがデンマークの「教育」だ。それをしっかりと叩き込まれていることは十分に理解できた。日本はどうなのか?子どもは大事にされているのか?福祉施策は進んでいるのか?勿論、様々な改革はされてきてはいる。福祉施策を投じる際にはデンマークと同様に同時にそれに関わる人の教育についても進められるべきであると思う。なぜなら、子どもから高齢者まで、一人ひとりの生活をいかに充実させるかを考える時に対人援助職の専門性についてはどこの国においても問われるものであろう。様々な背景からデンマークの理念や方法をそのまま日本では適応することは難しい。日々の中では業務に追われ、しなければならないことも多いであろう。しかし、私たちがすべきことは何なのか?「なぜここに私はいるのか、何のためにこの仕事をしているのか?」それは支援が必要なこの人のためであ