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概要

kaigaikensyu46

? 98 ?Ⅱ ドイツ(4 月30 日~ 5 月19 日)ハンブルクは北ドイツに位置し、緑や花が多く静かな街。ベルリンに次ぐ、ドイツ第2 の都市である。ドイツは日本の社会福祉制度のモデルとなった国である。1.Senioren-und-Therapiezentrum Halstenbek ~要介護高齢者のための施設~(1)施設概要緑の多い静かな街の中にある。道を挟んで反対側にスーパーマーケットと薬局がある。1F・2F は一般フロア、3F は認知症対応フロア(唯一入口やエレベーターに鍵がかかっているフロア)、4F は特別な医療が必要な方(外傷性脳損傷のため気管切開や経管栄養となった方)のフロアとなっている。1F・2F には1 人部屋と2 人部屋があり、選択が可能。入所者の平均年齢80 歳程度。別棟にはデイケアセンターが存在し、理学療法士がリハビリに訪れていた。(2)心理的社会的ケアドイツには排泄・移乗・食事等のいわゆる身体的なケアを行う介護職員の他にBetreuungskraftという心理的社会的ケアを行う介護職員が存在する。この施設では担当の入所者が決まっていて、毎日訪問し、1 人当たり10 ~ 30 分程度の時間をともに過ごす。話をしたり、歌を歌ったり、本を読んだり、散歩をしたり、マッサージをしたり、入所者の要望に合わせ対応する。そして、過ごした時間、内容、状態等を電子カルテに記録する。心理的社会的ケアを行うことで、生活の質を高めることを目的としている。身体的な介護が優先されてしまいがちな施設介護において、個々と向き合う時間を確保することができるため、重要な役割を担っていると感じた。介護職員も安心して身体介護に専念することができるため、効率良く介護サービスを提供することができる。また、担当の入所者が決まっていることで信頼性も高まり、異変にも気付きやすい。入所者の方々は心理的社会的ケアスタッフが訪室してくるのを心待ちにしている様子であった。いつも悲しげな表情をしている方から笑顔が見られたときは、私もとても嬉しい気持ちになった。特別な医療が必要な方のフロアでは、言葉を発することがあまりできない方も多かったが、反応が違うと瞬時に看護師へ報告しており、観察力の高さがうかがえた。脈拍が120 程あった入所者に対し、安心して過ごせるようにと語りかけた結果、80 まで下がったということがあった。声掛けやコミュニケーションがいかに大切であり、生活の支えとなっているか考えさせられた。この施設は徒歩5 分圏内にスーパーも薬局もあるため大抵のものは手に入る。一般フロアの入所者は外出自由のため、買いに行くことができるが、身体機能低下等の理由から一人では難しい施設外観