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概要

kaigaikensyu46

? 6 ?2.4 月23 日(月) 13:30 ~ 15:00   視 察:Bornehusen Arup(特別なニーズを必要とする子どもの幼稚園)  対応者:園長 Helle Pia Sorensen  報告者:水野 里佳デンマーク社会の流れとしてはインクルージョンが主流であり、障害のある子どもも一般の教育施設へ行くことが通常であるが、私達が訪問したフェン島には特別なニーズを必要とする子どもの幼稚園が4 つあり、その内の1 つを訪問した。園長のHelle 氏はこの特別なニーズを必要とする子どもの幼稚園の他、系列の2 つの幼稚園を含め、3 つの幼稚園を統括する管理者である。定員12 名(訪問時13 名)、ペタゴー(保育士)は6 名いる。配置は子ども2 人に対してペタゴー(保育士)が1 人である。ここに通園する子ども達は身体および知的な障害があるなど重複障害の子ども達で、心理士や保健師などの専門職がチームとなり、通園の可否を判定している。基本的に何かしらの診断をされた子ども達が通園している(発達遅滞・疾患・低出生体重児など ASD は除く)。子ども達はその特性から2 つのグループに分けられ日中の活動を行う。13 人の内、この幼稚園を主としている子どもは3 人で、10 人の子ども達はさらに2 グループに分かれ、ペタゴーが付き添いのもと、系列の一般幼稚園へも通園している。予算は定員12 人に対して算出され、一般の幼稚園と比較すると多い。子ども1 人に対しての予算は年間で42 万クローネ(日本円で約746 万円)である。施設の家賃・雇用費・職員のスキルアップに関する費用などが運営資金として使用される。子どもはタクシーでの送迎が保証されており、それらの費用は別途算出されている。2 つの保育室はすっきりとしており、壁には絵カードがあり活動の内容がシンボル化されている。多くの子どもが予測の立つプロセスに安心感を持つことから実施されており、この支援は幼稚園から小学校へと継続される。また、専属のセラピスト(PT・OT)がおり、感覚統合のアクティビティーを取り入れている。園庭には自然を利用した様々な遊具も充実している。ペタゴーとセラピスト、それぞれの専門性が活かせる活動内容をすることが最も効果的であるという。活動に関しては「ここは幼稚園であること。」を大切にしている。特別な施設ではないし、治療をする場でもない。活動の中には専門的な要素を含んだものもあるが、基本的には「遊び」が中心であり「ここは幼稚園であること。」が前提であるとHelle 氏が強調していたことは印象的であった。ちょうど訪問時は午睡の時間であり、子ども達は大型のベビーカーに乗せられ、保育室に隣接するスペースで午睡をしていた(デンマークでは子どもの午睡はベビーカーに乗せて戸外ですることが通常であるとのこと)。保育室には天井式リフトがあり、また、トイレのオムツ台は電動スイッチで高さが変更できる。ペタゴーが無理に子ども達を抱えたり、持ち上げたりしないためである。歩行が難しい子どもはそれらを利用したり、また、ペタゴーの腰への負担を考慮してのことでもあり、労働環境にも配慮がされている。