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んだった。寡黙な人柄であるが利用者らとの関わりが自然であった。福祉に必要な人間性は様々な経験で養われるとも思った。・SILEA(Stiftung fur integriertes Leben und Arbeiten)隣町でZemiより規模の大きな施設での研修をステイ先の方が手配して下さっていた。しかし、デンマークでスイスにはアールブリュットの美術館やアトリエが多数ある事がわかり、それら施設での研修の方が今回の目的にあっている為、ここは短期間に変更した。この施設は、建物内に温水プールなどもあり地域の福祉的な活動の拠点などの役割を担っていて、そのプールは高齢者も利用している。毎日の利用者数は、この建物内で200名以上、精神障害の方の通う他の活動の場の人数を合わせると350名以上と大規模で、生活ホームも近隣で運営している。私は、軽作業の工業部門の体験をした。その部署でも50名以上の利用者がいる。雰囲気は工場である。職員が、その日の作業の担当者の割振りをして、3つほどのグループに分かれる。私は、かなり難しい箱折の作業を体験する事になった。利用者は、時々雑談も交えるが、黙々と作業に取り組む。周りに座った方々は、友好的で一生懸命に英語で話しかけてくれた。しかし、昼食前に、私と仲良く作業中に英語で話していた利用者の一人が「私、家に帰る。」と帰宅して行った。私の後ろで作業していた方だ。作業中に職員に作業の完成品に注意をされ、「あなたは一つも折っていないじゃない。偉そうに!」(後に本人から英語で説明を聞いた)と抗議の大声を上げていた。自己主張を誰もが出来ると思いもしたが、職員と利用者の間に人格意識の隔たりを強く感じた。職員と利用者が明らかに分かる施設なのだ。そして、アトリエもあると聞いていたので、3 3午後から一緒に活動させてもらうことになっていた。しかし、事前にアトリエは、工業作業能力3 3 3のない方の作業場所との説明をされて驚いた。また、アトリエへ行くと、施設内のトイレに設置されているハンドタオルを折る作業をしていた。それを見て、この事業所での研修は十分と判断した。同じ国の同じ制度、隣の村町に位置するほぼ同じ機能を持ったZemiとSILEAであるが、活動の魅力はずいぶん違う。福祉で重要な事は、「建物や制度」では無い、「人の理念や思想」である。ロザンヌ・セントガレン(Lausanne / St.Gallen)Collection de l’Art Brut・Museum im Lagerhaus(5月22、23、27日)~美術館~<それぞれの美術館の成り立ち>スイス、ロザンヌのアールブリュットコレクションは、アールブリュットを定義したフランス人芸術家ジャン・デュビュッフェの収集したコレクションをもとに発足した美術館である。今なお、世界中からアールブリュット作品を収集している。?75?