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サイドウォーカー2名、セラピスト1名で行われる。常に介助を必要とするクライアントであった場合はサイドウォーカーの交代者やセラピストにも助手のいることがある。1頭の馬は1日2回までセッションに使っており、現在19頭いるが足りないので馬を増やさなければ、と話されていた。私が訪れた時は、脳性麻痺の11歳の男の子のセッションが行われていた。自分で座ることが出来ないので、始めは理学療法士のセラピストが座位と首の保持のため一緒に乗馬する。馬上でのマッサージや関節の伸展運動などをした後、左右からしっかりと介助してひとりで乗馬する。うつぶせ寝でも少し歩き、馬にありがとうの挨拶をしてから終了となる。スタッフは保護者と振り返りの話し合いを持ち、今後の方針を相談していく。母親の話によると、3歳の時から週に1回、通って来ており本人も乗馬を楽しんでいる、とのことであった。実際にセッションの終了後には笑顔が見られ、馬にも友達と関わるような雰囲気で接しており、とても温かいものを感じた。他にも言語の発達を目的としたセッション、感覚統合を目的としたセッションを見学することが出来た。日本ではこのように専門的な治療的乗馬に触れた事がなかったのでたいへん興味深く、参考になることを見つけられた。ROCKではその専門性の高さから主にHippotherapy(治療的乗馬)を提供している。身体、言語、精神の各分野に対応でき、HippotherapyからTherapeutic Riding(療育乗馬)へ移行するクライアントも多い。その場合は近隣の施設を紹介しているとのことであった。屋外では風や馬の足音を感じるセッションが出来る〈独自の取り組み〉日本には無い取り組みとして「Horses for Heroes」(英雄のための乗馬)を実施しており、退役軍人にも馬との触れ合いを提供している。身体的な傷害や外傷後ストレス症候群などを抱えた元軍人(英雄)たちが馬と関わることで身体機能の回復と共に情緒面においても効果がみられる。この独自の取り組みはアメリカCNNニュースでも取り上げられたことが改良された鞍がずらりと並ぶある。屈強な男性がセッションの様子を熱心に見学していたので、保護者かと思って尋ねると正に「英雄」であった。自分たちはチームを組んでムスタング(野生馬)をトレーニングしている、と話してくれて、調教が進み、馬との信頼関係を構築していく過程が心(存在の肯定、自信、他者への慈しみなど)の効果的なセラピーとなっていることが感じられた。施設名にはRide On for Kids(子どもたちのために)との言葉が入っているが、馬は年齢に縛られない効果があると再確認した思いであった。?56?