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たりはしない。例えばNokiaは、携帯電話が普及してから現在に至るまで、市場占有率や販売台数で世界トップレベルである。そのFinlandのIT技術は、社会のインフラの一部として社会、生活の中で効果的に使用されている。特に保育施設と自治体の連携をとるための技術は素晴らしいものがある。保育に関する情報管理は地方自治体が行う。例えば、各園児の保育時間もそうである。保護者が、自分のIDデバイスを使って登園時間と降園時間を登録すると、その情報が自治体へ送られ各園児の保育時間を管理するといった感じだ。データベース化は、園児の保育時間だけでなく、利用者や保育士の個人情報等、事務作業に要するもの全てにおいて行っている。管理元は自治体であるが、施設側ももちろん閲覧や、必要なら権限内で情報の改訂ができる。情報管理の二重業務を出来るだけ削減し効率化しているので、保育園は事務作業に縛られず子供の保育や家庭との関わりに専念できる。FinlandのIT技術と日本のものを比較してみると、それぞれで素晴らしいものがあるが、日本の場合、ITがどのように社会のインフラとして浸透していくかが今後の課題となる。特に日本の地方自治体は、民間企業と比べるとITの導入が遅れている。日本のITは、経済、企業、産業の発展に加え、娯楽として人々の生活に精通している要素が強い。もう一歩進めて、情報データを社会のインフラとして普遍化させるためには、国、自治体、市民のそれぞれがITリタラシーを高くするための教育が、今後の日本の課題だろう。(3)家(いえ)と家(うち)Joensuuの研修を終え、Helsinkiへ戻ってきた。幸運にもAteneum美術館で開催されたToveJanssonの生誕百周年を記念した回顧展に足を運ぶことができた。Tove JanssonはFinlandで最も愛されている作家・画家の一人である。彼女の代表作であるムーミンは、日本では子供のアニメとして名高いが、作品と物語に込められた哲学的なメッセージは、子供だけではなく大人にも向けて発信されている。家の温かみと自然の脅威、馴染みのあるものへの安心感と未知のものへHelsinki Ateneumの恐怖といった対照的なものが描写され、危険な冒険の最後にはいつも家にたどり着き、ハッピーエンドを迎えるといった感じだ。よくありがちな物語展開だが、ここさがに人間の性や本質、社会の根本が描写されているように思える。心理学者Mary Ainsworthは、人間の愛着行動に関する概念として「安全基地(Secure Base)」を提唱した。子供は親との信頼関係によって育まれる「心の安全基地」の存在によって、いつでも喜んで迎えられる場所があることを確信し、外界に対する探究心と好奇心を育む。精神科医のMargaret Marhlerも分離個体性?30?