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(3)自由保育と一斉活動の間に生じる溝Denmarkの小学校に配置されているプリスクールは、0学年と呼ばれている。日本の幼稚園、保育園の年長組と同じ学年にあたる。Bornehaveは集団生活の場であるが、前述したように自由保育が基本である。子供達は、園庭や森で自分がしたいことを自主的に選び、好きに遊ぶ。そのような時間が生活の大半を占める。一方で小学校では日本と同様(とはいっても私が視察したクラスは先生一名に対して九名の生徒である)で決まった課題を一斉授業の中で行う。この生活環境の変化は子供にとって大きく、0学年が出来る前は、子供達が小学校の生活に馴染むことができないことが課題となっていた。0学年のカリキュラムを通して子供達が一斉活動の主である集団生活に少しずつ慣れるための取り組みを行っているが、それでもまだ馴染めない子供達や特別な支援が必要な子供達が年々増加しているとのことだ。やはり、一度集団の中で自由に生活できる習慣がついてしまうと、そこから一斉の集団行動に慣れるのには時間が掛かるだろう。近年、0学年に就学するさらに3ヶ月前からプリスクールに慣れる準備期間を設けている自治体もあるとのことだが、就学に向けての課題は多くある。一方で、日本の保育・幼稚園は、自由保育だけでなく子供が集団で活動できるようなカリキュラムを保育の中に取り組んでいる。特に3歳児以上クラスの幼児数を見たら、欧州の保育士は驚愕するだろう。幼児の社会性が身に付き始める時期に一斉活動を効果的に取り組むことは、就学に向けても、防災対策に向けても大変意義がある。(4)変わる家庭環境、変わる親子の様子Hansen施設長が興味深いことを口にした。最近の親は、一世代前の親と比べると子供との関わりが希薄であり、又、親としての自覚が少ないという。その親とは、1970年代の教育改革から、幼稚園に通うようになった子供達である。幼少時代に家族で交流する時間が少ない、つまり親の背中を見ないで育ってしまうと、自分が親になった時に、子供とどう接して良いか分からないのではないかという。重ねて最近の子供達は、家庭での躾や規範が弱体化してい早朝保育の送迎のひとこまるのが原因か、一昔前の子供と比べて全体的に落ち着きや規範意識が少なく、コミュニケーションが上手く取れないという。又、Denmarkの離婚率の増加等、子供の精神発達にストレスを与える家庭環境が増えている。Denmarkの教育制度や教育現場は、より効果的な先進技術を取り入れている一方で負の連鎖も抱えているのが現状である。?25?