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データ解析に基づいて行われるため、PTも患者も客観的な議論ができ、実にスムーズに話が進められていく。必要性に応じて入院中、外来から何度でもここを訪れ、自分に合った車椅子、クッションの検討ができる。褥瘡は脊髄損傷者にとって厄介な合併症の一つであり、もし褥瘡になれば社会生活を中長期的に中断せざるをえない。入院中は医療者のアドバイスや皮膚の変化を早期に発見することができるが、退院後は自己管理を徹底しなければならない。とは言っても特別な事をする必要は無く、決められた時間に殿部等の除圧、就寝前に鏡で皮膚のチェックを本人、またはCaresに行うよう指導している。(4)自己決定権看護師について回り、病棟での看護師業務を見学した。ここで最も驚いたのが自己決定権である。ある患者の入浴動作を見学し、患者がベッドに戻った時のことである。私が「ベッド柵をしなくても危なくないのか」尋ねると、突然患者が笑い出し「そんなものをしたら窮屈で仕方がない」と。すかさず看護師が「この国では自己決定権がとても大事、もちろんベッド柵が無い事で転落の危険性がある患者(認知面に問題がある場合は家族)には説明し了解を取る。しかし、患者に十分判断能力があり、尚且つ重度の痙性(ここでは筋肉が緊張し姿勢が変化する事を意味)でベッドから転落する危険性が無い限りベッド柵はしない」という。日本では安全に配慮しベッド柵を使用している病院が殆どではないだろうか。ちなみに、このイギリスの病院では「危険性について説明し、本人が了解した」という旨の同意書を取るとの事。それにしても、根本的な考え方の違いにショックを受けてしまった。(5)多民族?多様性もう一つ印象に残ったことは、実に多様な国のスタッフがいるということ。前述の看護師さんが笑いながら「ここは多国籍。私はジンバブエ、あとはカナダ、イギリス、ブラジル、トルコ、それにジャパン(筆者)!」。本当に一つの病院の中にいくつもの国籍があり、考え方も多様であるのに皆それぞれの立場でチーム医療を円滑に進めている。日本の病院では殆どが日本人だし、日本人としての常識や考え方で病院運営が成り立っている。イギリスの特徴ではあるにせよ、多民族ゆえの柔軟さ、価値観の相互理解、それらを包括したチーム医療。学ぶ事は非常に多い。(6)Peer Supporter常勤している車椅子ユーザー(脊髄損傷者)はPeer Supporterとしてほぼ毎日「PatientEducation」と呼ばれている患者教育プログラムを実施し、これが実に充実した内容である。患者?家族誰もが参加できる。その日のトピックが決められており、それは患者の生活に直結している内容で、「褥瘡」「排尿?排便」「体重管理」「セクシャリティー」「公共交通機関の利用方法」「仕事の仕方」「就職活動のサポート」等々、多岐に亘る。個別に患者本人や家族への相談も受けてい?60?