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Ⅳ(福)桃水会並木保育園保育士西川君江デンマークに到着し研修が開始されてから、私は日本の福祉施設との違いについて、多くのことを見つけ出そうとしていた。施設の設備・労働者の為の法律・カリキュラムの日本との類似していない事柄の情報を集めて記録にまとめる作業を考えてもいた。研修が開始されると研修施設のすべてにおいて、対応していただいた施設長はじめ、職員の皆さんが必ずといっていいほど、デンマークの方針である「みんな違って良い。選択の自由は、健常者・障害者関係なくすべての人に与えられている権利である。」という言葉を私たちに教えてくれた。しかし、障害児・障害者に関しては、選択の自由だと言われているものの、実際は難しいのではないかと思っていたが、選択が自己でできる範囲で障害者自身が選びとれる工夫がされており、言葉を話さない障害者については、表情や目の動きの表現でその人の気持ちを読み取る技術がペタゴーには必要になると説明を受けた。そしてペタゴーは常にアンテナをはりめぐらせていなければならない。ペタゴーはその技術の習得の為に、研修・実習期間が約3年間であることを教えられた。日本よりもかなり長い期間をトレーニングしていることになる。施設の設備だけが充実しているわけではない。物ではなく、人をケアする人的環境が専門的に高いレベルで育成されている土台があってこそ、デンマークの福祉が支えられていると感じた。そして、“みんな違って良い”自分で選択したことは自己責任を持ち、周りの責任にしない、加担しない。しかし、困っている人には、手を差し伸べるというデンマーク福祉の基礎となる考え方を研修半ばで、ようやく理解することができた。そこで、私は、自分の視点の違いに気付くことになった。違いを比較し、日本では到底このような手厚いケアとシステムを導入できる事は難しいであろう。日本では『不可能である』と落胆する心情を私自身が作り出していることに気が付いたと同時に、日本の職場での自分自身のありかたについて考えさせられた。不平・不満ばかりを持ち、専門的な知識の習得を継続できていない。改めて気づかされる点や私自身が持つ福祉・教育についての意識をこの研修で少し違う角度から見ることができた。システムを変えることがすべてではない。今、私ができることが必ずある。その考えや思いを押し付けるのではなく、私の園の若い職員、子供たちに提案し、選び取れる自由と責任について一緒に考えていこうとする気持ちが自身の中で芽生えた。今後の個人研修国についても同様に比較はやめ、良いところを多く吸収できるスポンジのような柔らかい気持ちを持ち、進むことができる貴重な合同研修期間となった。?14?