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【デンマークでの合同研修を終えて】Ⅰ(福)立正福祉会立正保育園保育士久徳典代今回、初めてヨーロッパにこのような形で行けることになって、時差ボケなど思いもつかなかった私だが、実際に体験してみたことでそれがどういうことかがよく分かった。しかしこの合同研修は到着の翌朝から5日間すき間なく組まれていたため、始めのうちは体がついていけるか心配だった。国民学校「日欧文化交流学院」のある町ボーゲンセを「忘現世」と教えてくださったのは、この学院の創設者千葉忠夫先生だった。千葉先生の言葉どおり私はボーゲンセのファンタジックな街並みに浮き足だっていたようで、この「国民学校」見学ではその意味についてよく考えてみようと思わなかった。今、帰国してしばらく経ってからも、日欧文化学院で受けた不思議な感覚を思い出すことができる。学院内は、穏やかで静かながらオープンな空間、そして多様さや異質が入り混じりながら調和していく奥深さのような独特の雰囲気があった。それは、デンマークが福祉大国であることを肌で感じさせ、時差ボケである私を覚醒させてくれたに違いなかった。翌日からの各施設訪問はどれも価値ある、心から嬉しくなる機会となり、千葉先生と日欧文化学院長の銭本隆行先生による正確で具体的な通訳のおかげで、目前に見る現実が即座に有益な情報に結びついていった。私は合同研修後から個人研修まで、約1ヶ月間デンマークで過ごすことができた。聞いてはいたが、毎日の買い物では物価の高さに泣かされ、より安いものを探し求めて歩いた。一方、その後のホームステイでは、お世話になった皆さんの余暇の過ごし方や労働環境、教育や医療制度への信頼と安心感を非常に羨ましく思った。そして「ロックアウト」(学校閉鎖)という日本では想像しえないデンマークの日常を知った。物価が高いのには訳があるし、安い商品を作るにはどこかで誰かにしわ寄せがいく。教育を受ける権利以上に大切なものがあるのか。疑問や不可解さは今も湧いては消えている。今回の研修では、幅広く福祉・教育の現場を見せていただけた。どの施設も本当に行き届いた手厚い環境だったので、自身の気持ちも温かくなるのを感じた。そして、皆がゆとりをもって互いに優しい気持ちで触れ合っていて、どの人もどんな状況でも生きる尊厳が守られていることがわかった。デンマークの人たちはどうやってこのような豊かな国を創ったのか。何を大切にし、守ってきたのか。どんな努力が必要だったのか。日本とデンマークの制度を単純比較することはできないが、もっとよく知れば、私たち日本人が真似たい、学びたいことはたくさんあるのではないかと思った。今回の合同研修では、時間を惜しんで私たちに伝えようとしてくださったことの意義がよく分かり、今はそのことをとても感謝している。千葉先生は学院での講義のなかで、私たちにとって最も大切なこととは何かを「真の民主主義とは何ですか」という質問に託してくださった。また、私にとってはフランス革命にしか結びつかなかった「博愛」という言葉の本当の意味を今後も長く考えられるよう、楽しく記憶に残る話題を提供してくださった。まさしくデンマーク国民学校の授業で、?11?